国鉄では列車同士の追突を防止するため、列車の進路を閉塞する区画で区切り信号気により追突を防止する信号保安システムを用いている。列車同士の間隔を縮めるためには先発の列車が駅に停車中に後続の列車が進行信号で走行する必要があるが、特にラッシュ時は駅によっては30秒以上停車することもあり、運転間隔を2分以下にするには先行列車が速やかに発車して後続列車が進行信号で駅に進入するシステムが必要となる。京浜東北線と山手線が同一線を走っていた1952年10月よりラッシュ時にそれぞれ3分40秒間隔で、双方合わせると1分50秒間隔で運転を開始した頃には後続の列車に進行信号を現示し、停車時間を確保するために一部の駅のホームに信号機を増設した。

モハ90形においては高加速で駅から早く発車して運転間隔をさらに縮めようとしたが、電力設備が追いつかずに挫折してしまい旧型国電と変わらない加速度に落ち着いたが、運転時分を短縮するにはホーム中間に信号機を設置するのが効果的なので京浜東北線と山手線が分離運転を始めた1956年11月19日以降も大半の駅にホーム中間信号機を設置したが、それ以外にも信号機をこれまでの赤・黄・緑の3灯以外に25km/h以下での進行を指示する警戒信号や65km/h以下で進む原則信号(黄・緑)等の多灯信号機を導入し、駅手前に短い閉塞区間を設けるなどの措置を講じた。

ホーム中間信号機が設置されている線区での運転間隔は列車最後部がホーム中間の信号機を通過するまでの走行時間が重要となり、その場合は4:0km/h/sの高加速度でも2:0km/h/sの加速度でも運転間隔の差が少ないことが判明した。ホーム中間に信号機がある場合後続への影響は駅を出た最後尾がホームから出た先にある出発信号機を通過する時間ではなくホーム中間信号機を通過するまでの時間が重要となり、ホーム中間の信号機は列車停止位置の最後尾から約100m以下であるため、列車の起動加速度を究極に高めてもその効果が低いためだ。運転時分の算定にはブレーキ初速度やホーム中間信号機の位置、列車の長さ等いくつかのパラメーターを与えれば求まる計算式があり、それらを様々な条件に当てはめてシミュレートした結果起動加速度2:0km/h/s・減速度2:5km/h/s・ブレーキ初速度60km/h、ホーム中間の信号機を設けていることが適していることが判明した。これらのことから新型車両の開発に当たっては起動時の電流量で電力設備に大きな負荷がかかる加速度を高めずに2:0km/h/s程度に抑え、ブレーキ減速度を3:5km/h/sと高めに取ることとなった。

また、場内信号機の設置位置は運転保安設備基準規程により駅の停止位置より150m以上外方と決められているが、表の路線では特例としてこの基準によらずにホーム中央等に場内信号機が設置できるようになっている。1961年当時山手線の品川-新宿-田端間でホーム中間に信号機が設置されていたのは一部の駅だけだったが、ホーム中間信号機ありきの運転間隔とそれを下に設計した新型通勤車両の登場もあって1974年にはすべての駅でホーム中間信号機の設置が完了した。

場内信号機設置に特例がある区間(1965年)

東北本線
東海道本線
根岸線
山手線
中央本線
総武本線
常磐線
大阪環状線
東京-大宮間(電車線)
東京-横浜間(電車線)
横浜-磯子間
電車線
東京-高尾間
御茶ノ水-千葉間
日暮里-松戸間
全線

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